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新しいのに懐かしい「借景」のレストラン

武部建設 株式会社

栗山町・レストラン「サメオト」

 緩やかにうねる雑木林と丘陵地の畑、そして彼方に望む夕張の山並み。目の前に広がる壮大な風景に惹かれ、栗山町への移住を決めた料理人のオーナー。アンティーク家具や手仕事、自然の素材を生かしたインテリア、雑貨が好きなオーナーが目指していたのは、それらがしっくりとなじむ「新しいけれど懐かしい」空間。また、恵まれた眺望を生かす開口を随所に設けたいと考えていました。
 2019年、店舗新築の依頼を受け、オーナーのイメージに合う「モダンクラシック」がコンセプトの空間をカタチにするため、柱や梁などに豊富な古材ストックを生かしたプランを提案しました。さらに、建築家の須貝日出海さんをはじめ、構造設計家の山脇克彦さん、砂川の建具職人などと協働し、設計・施工にあたりました。
 大工を社員として直接雇用し、若い大工の育成にも力を入れている武部建設。今回も船田慎人棟梁のもと、大工たちがチームワークを発揮。オーナーは「武部建設と建築チームの専門家、職人さんが得意分野を生かしながら、私の細かな要望が叶うよう尽力してくれたのが嬉しかったです」と振り返ります。
 2021年8月、移住の決意から3年の時を経て、オーナーの夢が結実。カバの柱、センの梁、カツラのテーブルなど古材の力強さと温もりを生かした空間は、大きな吹き抜けと開口が設けられ、開放感たっぷりです。窓越しに広がる借景は光の移ろいで刻々と表情を変え、見飽きることがありません。夜の帳が下りれば、個性豊かなガラスのシェードの灯りが店内をやわらかく照らし、古材や塗り壁の陰影を引き立てます。
 工事中、オーナーも家族や近所の人たちの手を借りながら、壁の塗装仕上げに参加。玄関に取り付けるメイン扉のアンティーク加工にも挑戦されました。「照明器具は洞爺湖町のガラス作家、高臣大介さんに制作を依頼。時間をかけて一つひとつ吟味して、みんなでつくり上げることで1足す1が3にも4にもなり、想定を軽々と超えた理想以上の空間が出来ました」と、笑顔で話してくれました。

#道央

丘の風景を一望する大開口が、四季の彩りと自然の光で店内を満たすランチタイム

オープンキッチンのカウンターの墨色の腰壁は、工場仕上げのモールテックス。天板にはタモ無垢板を用いた

1階の床の一部を土間仕上げとし、薪ストーブを設置。傍らには、店内でも自然の息吹が感じられるよう近隣で見られる山野草を飾った。土間スペースの壁も、オーナーと仲間がポーターズペイントで仕上げた

窓辺に設けたカウンターは、おひとり様専用席。絵のように切り取られた窓から、5月初旬には満開の桜が見える

稲妻の階段でつながる2階は、ヨガ教室などにも活用されているギャラリースペース。冬は、階下の薪ストーブの温もりが煙突越しに伝わる

2階の大開口からは、オーナーを魅了した丘の絶景が一望できる。夕暮れ時、夕日に照らされた畑は、ことのほか美しいのだそう

2階フロアの一角には、居住スペースも設けられている。壁はすべて、オーナーが家族や仲間と一緒にポーターズペイントで仕上げた。床はナラ無垢材

リビングにも大開口が設けられ、お気に入りの風景をひとり占め。「星が頭上近くで瞬き、虫や鳥の声が聞こえるので、自然体で暮らせます」

カラマツ合板を張り、リン酸処理のアイアンを天板にしたバーのようなキッチンは、三共建具工業の造作。大工造作の背面収納には、東大演習林から原木で仕入れたマカバ材の天板を採用

フランスの屋根裏部屋をイメージし、アンティーク加工を施した松材を天井に張った寝室。光沢が美しい壁は、大理石を混ぜたペンキで仕上げてある

メインの玄関ドアは、砂川の三共建具工業の造作。無垢のタモ材を用いながら、イメージに合うようダメージ加工をオーナー自らが施した。外観のアクセントとなっている丸太柱は、武部建設の社有林から大工が伐り出し、墨付け・手刻みしたもの

雪や雨を防ぐために片流れの庇を長く延ばし、カラマツの丸太柱で構成されたアプローチ

お客様の声

京都、イタリア、フランス、東京で暮らしていく中で「いつか、故郷の北海道で自分の店を持ちたい」と考えていた私にとって、絶景を望む栗山町の丘は、まさに約束の地でした。武部建設は友人の紹介で知ったのですが、町のあちこちで見かけて目に留まった建物の多くが武部建設が建てたものと知って、安心して新築の相談ができました。完成したレストランは、自分の家のように落ち着くと、お客様にも好評です。これからも武部建設といろいろと相談しながら、外構や庭の整備をしていきたいと思っています。オーナー談

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