「寒くても仕方ない」の我慢生活から脱出
市内の住宅街の傾斜地に一軒の素敵な家が建ちました。玄関ホールからスキップフロアで上がった先にあるのは、高い天井が開放的な吹き抜けのリビングと、そこからさらにスキップフロアでつながるダイニング・キッチン。リビング階段を上がった先には、オープン式の廊下沿いに並ぶ寝室と子ども部屋。そしてユーティリティとお風呂の水まわりスペースです。吹き抜けの大空間を中心に、ゆるやかにつながる各エリアは、家族の絆を感じさせます。
この家に暮らすのは、Fさんご夫妻と娘さんの3人。元々はご主人の祖父母の家を引き継いで住んでいましたが、老朽化が激しく、寒くて暗い上に使い勝手も悪い家でした。ほとんどストーブがある1階での生活で、2階は物置き状態だったといいます。娘さんはひとりで上に行くのが怖くてよくお父さんを連れて行っていたそう。そんな娘さんに自分の部屋をつくってあげたいということもあり、暮らしの質の向上を求め、思い切って建て替えることにしました。「うちはなんでこんなに寒いんだろう?と思いつつも、古いからしょうがないんだと諦め、10年ほど寒さを我慢しながら住んでいました」というご主人。その寒さと別れるべく、住宅知識ゼロの状態からの家づくりが始まりました。
性能もデザインもバランスよく
ご主人が単身赴任中だったため、奥さんがインターネットや雑誌で情報を仕入れて猛勉強。娘さんを連れてハウスメーカーのモデルハウスや住宅展示場を回りました。「いくつか巡るうちに、ハウスメーカーの家は規格が決まっていて、私たちの希望どおりにするのは難しいと感じました。そこで工務店に絞っていろいろ調べたのですが、ここは性能はいいけどデザインが合わないとか、なかなか性能とデザインのバランスのよいところが見つからなかったんです」と奥さん。
そんな中、アース21のWEBサイトを見て気になったのが、アシスト企画でした。さっそくモデルハウスを見学に行ったところ、自分たちの求めるイメージにぴったり。性能面でも文句なしで、お願いすることになりました。
家事動線や吹き抜け、書斎など盛りだくさんなFさん一家の要望に、最初は設計の村田さんも3階建てを考えましたが、もっとコンパクトに、動線を効率良くできないかと思案して生まれたのが、大胆な吹き抜けを中心に、玄関とLDK、2階部分をスキップフロアでひとつながりの空間にする間取りです。
「こちらの要望を叶えるだけでなく、それ以上の素晴らしい提案をしてくれるのが、さすがプロだなあと感動しました」とご主人は当初の驚きを語ってくれました。
「面白い」と共に思える個性あふれる家づくり
高低差が入り口から奥にかけて1.6mもある土地。その特徴を生かした玄関からリビング、そこから畳スペースを経てダイニング・キッチンと2階へ続くスキップフロアは、生活空間にうまく段差や階段を組み込み、開放感や広がりを生み出しています。1階部分や吹き抜け、寝室など各所の天井高を変えることでコストバランスも調節。無駄のない空間づかいが光る個性的な設計です。
「土地を見たときに、なにか面白いことができそうだなと感じ、またFさんご夫妻もそれを理解していただける方だったので、思い切った空間設計ができました」という村田さん。
まさに工務店と施主が意気投合してつくり上げた唯一無二の家です。もう寒さに我慢をすることもありません。実際に暮らしてみて、動線のよさに驚いたという奥さんは、家事効率もアップ。ご主人は念願の書斎で勉強に集中することができ、仕事のモチベーションもあがったとか。娘さんも友達を呼んでのお泊まり会を気軽にできるようになったと嬉しそう。家族の暮らしががらりと変わりました。
「家って我慢しなくてもいいんだな、と建ててから思いました。今はもうあの生活には戻りたくないです」と明るく笑うFさん一家です。